- 著 樋口 有介
- 販売元/出版社 中央公論新社
- 発売日 2009-02
連続バラバラ殺人という陰惨な事件を扱った物語でありながら、文庫化されたこの本の畑中純による表紙はなんともミスマッチさを醸し出していてそれ故に何か得体の知れない不気味さも見え隠れしている。
とはいうもののミスマッチによる違和感の方が大きかったわけだけれども、しかし、読み終えてみるとこれが正解というかこれ以上ないくらいに見事な表紙であることに気付かされる。
で、もって内容の方はというと、これまた内容の方もというか登場人物達が一癖も二癖もある人物ばかりで単純に登場人物の生活行動を描写しているだけであっても何かしら得体の知れない不協和音が鳴り響いていて、読んでいて全然すがすがしくない。
主人公らしき人物からしてが既に普通の青年っぽさがなく、悟りきったような生活と考え方をしている。
そしてその中で連続バラバラ殺人事件が起こるわけなのだが、被害者を繋ぐミッシングリンクが明らかになった時、表紙の絵の意味もわかり、そして犯行動機そのものに唖然としたのである。
最後になって事件は無事解決する。しかし残された登場人物達は事件そのものとは無関係に一癖も二癖もある人物のままでありあまり明らかになっていない。不協和音は残ったままなのだ。
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