九杯目には早すぎる

九杯目には早すぎる (双葉文庫)

  •  蒼井 上鷹
  • 販売元/出版社 双葉社
  • 発売日 2009-02

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五編の短編の間に、二から三ページ程度の掌編が挟まっているというちょっと凝った短編集。
で、本のタイトルとなった話は短編の方かと思ったら掌編の方のタイトルだったのでちょっと驚いた。
まあそれはともかくとして、きっちりとしたオチのある話ばかりかと思っていたらそうでもなく、読者の想像にまかせる話だったり、後味の悪い話だったりとバラエティにとんでいる。
とはいっても基本はミステリであるからして何らかの謎が存在する。
第一話の「大松鮨の奇妙な客」では寿司屋でとんでもない鮨の食い方をした男の謎で、参考文献として都筑道夫の『キリオン・スレイの生活と推理』が挙げられているだけあって、謎の内容から推理の過程に至るまでがなかなか面白いのだが、推理の部分で面白い面白いと思っていたら最後にきて作者にまんまとひっくり返されて唖然としてしまった。
そうかと思えば、「私はこうしてデビューした」や「タン・バタン!」では、ひたすら自分に都合のいいように話を脳内変換する人や、人の話を勝手にねじれた方向へと解釈していらだたせる人物が登場して、嫌な気分にさせられたりもして、全体的にどの話も、微妙に後味が悪いのである。
この微妙さ加減がちょっと気になるところだ。

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