カルカッタ染色体

カルカッタ染色体

  •  アミタヴ ゴーシュ
  • 販売元/出版社 DHC
  • 発売日 2003-06

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1997年のアーサー・C・クラーク賞受賞作なのだけれども、それにしてもアーサー・C・クラーク賞受賞作ってアーサー・C・クラークの作風とはかけ離れた作品ばかり受賞しているような気もする。
まあ、アーサー・C・クラーク賞ってのは名前だけで、つまるところ優秀な作品に与えられる賞なので別に構わないわけだけれど、『カルカッタ染色体』がSFなのかというとクラークの名前が付いている賞のわりにはSFではない。
では何なのかというと、ジャンルわけなどどうでもよくなるような混沌とした話で、ロナルド・ロス軍医によるマラリアの感染源の解明という実際の出来事の中の空白の部分に虚構を注ぎ込んだ話なのだが、空白の部分にというと聞こえはいいが、実際の所は無理矢理ねじ込んだというほうが近い。
ロナルド・ロスが短期間で解明できたのは実に怪しいということで、とある人物がその謎を追うのだが、ロナルド・ロスの研究を背後から操るかのように手助けしていた存在があり、しかも彼らはロナルド・ロスの謎を追う人間に対しても背後からその手がかりを与え続けているのである。はたして彼らの真の目的は何なのかという伝奇物語といった趣もあるのだが、むちゃくちゃといえばむちゃくちゃな展開だ。
でもって最終的に合理的な説明と解明がなされるのかといえばそうではなく、それなりの謎解きは行われるのだが、それすらあざ笑うかのような混沌とした結末へとたどり着くのである。

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