太陽の中の太陽

太陽の中の太陽 (気球世界ヴァーガ) (ハヤカワ文庫SF)

  •  カール・シュレイダー
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2008-11-21

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設定そのものは面白いのだけれども、『リングワールド』と比較されてしまうとちょっと分が悪いんじゃないか。
いや、『リングワールド』の方が面白いというわけではなくって、要するに視点の違いという部分で、『リングワールド』が外部の視点であるのに対してこちらは内部の視点なので物語の方向性がかなり違うのだ。
そもそも主人公の復讐譚として物語の幕が上がるわけだから、いきなり不思議な世界に放り込まれるのと、知っている世界から不思議な世界に放り込まれるのとでは読む方も覚悟が違ってくる。
しかし、よくもまあこんな突拍子もない世界を考えついたものだという割には今一つ、この世界の存在理由が弱い気もする。もっともそのあたりは続編で明らかにされるのかも知れないけれども、主人公の物語そのものだってなんだかうやむやのうちに終わってしまったし、というかビルドゥングスロマンとしてはちょっと物足りなさすぎるだろうこれは。
でもって突拍子も無い世界だと思っていたらこの世界の外の世界の方がもっととんでもない世界だったりするわけで、いったいどこまで風呂敷を広げれば気が済むのかこの作者は。
といいながらも、この身も蓋もなさは嫌いではないので実のところニヤニヤしながら読み終えたのっであった。

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