ぼくが愛したゴウスト

ぼくが愛したゴウスト (中公文庫)

  •  打海 文三
  • 販売元/出版社 中央公論新社
  • 発売日 2008-10

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内海文三は何のてらいもなくSF的な設定を用いる。
この本では主人公ともう一人の男がこの世界とは違う別世界へと行ってしまう。
その世界はこの世界とほとんど一緒なのだが違う点が三つ。短い尻尾が生えていることと、汗の匂いが硫黄臭いこと、そして心が無いということ。
尻尾と汗に関してはご愛敬と行った所なんだが、心が無いという点にはちょっと感心してしまった。
心が無いということはいったいどういうことなのだろうか。
残念ながら、その設定がうまく説得力をもって機能しているのかというとちょっと疑問というか、引っかかる部分もあるのだが、それでも設定上の問題点はうやむやにして、そういうものだということで、この心が無いという世界における主人公の試練というものがずしりとくる。
心が無くても悲しむことができるのだろうかということなのだ。うーん、これってイーガンの「しあわせの理由」にも通じる話なんじゃないかって思ったりもしたのだが、そういった比較はさておき、この物語の決着の付け方にも感心してしまった。
最後になって世界の仕組みをひっくり返して、そして投げたまま終わってしまうのだ。しかしそれでもこの話はしっかりと完結している。だからこそ読み終えて充分な満足感を得るのだ。

コメント

  1. どこか違う もう1つの、

    小説「ぼくが愛したゴウスト」を読みました。
    著者は 打海 文三
    パラレルワールドを舞台にした
    少年の物語
    伊坂さんのエッセイで紹介されており
    興味をもち読んでみました
    パラレルワールドということでSF作品と思うのですが
    そんな要素は薄くて・・・
    微妙に違う世…

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