「アリス・ミラー城」殺人事件

著　北山猛邦
販売元／出版社　講談社
発売日　2008-10-15

犯人を当てるとかトリックを見破るとかそういった無駄な行為をしながら読むのはとうの昔に止めたので、とにかく最後であっと驚かせてくれればいいなあと思いながら読んでいたら、なんだか釈然としない結末でがっかりしてしまった。
い、このがっかりというのは作品そのものがつまらなかったというわけではなく、自分の読み方が浅はかだったせいなのだが、ちょっともったいない読み方をしてしまったなあと後悔している。
一人、また一人と登場人物が殺されていくのだが、読みながら何だかおかしい気がしてならなかった。それなのにまあそのあたりは自分の気のせいだろうなどと思ってそのままあまり深く考えずに読み進めていってしまったのである。そうしたら最後でがっかりしてしまったのだ。
あのとき、おかしいと感じた部分をもう少し深く突き詰めながら読んでいったならば、最後であっと驚いたのだろうけれども、そういう意味ではずいぶんと読者に試練を与える小説である。まあ謎解きなのだからあたりまえなのだけれども。
で、それはともかく、今回も人体を単なる道具としか見ていないようなトリックやらが登場して、その部分では非常に満足したのだ。とくに犯行動機と最終的な目的には唖然とした。