宇宙飛行士ピルクス物語

宇宙飛行士ピルクス物語(上) (ハヤカワ文庫 SF レ 1-9)

  •  スタニスワフ レム
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2008-09-05

Amazon/bk1/livedoor/楽天ブックス


宇宙飛行士ピルクス物語(下) (ハヤカワ文庫 SF レ 1-10)

  •  スタニスワフ レム
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2008-09-05

Amazon/bk1/livedoor/楽天ブックス


この本が復刊されるなんてありえないだろうと思っていたので、文庫化される情報を目にしたときには驚いた。まあ、レムの人気度を見た場合、何かしらの作品がふたたび世に出るだろうとは思ってはいたけれども、出るとしたら<泰平ヨン>シリーズだと思っていたのだ。
で、レムといえばユーモアとシリアスの両極端の人だというイメージがあったのだが、このピルクスの物語は両方のバランスがよく、適度におかしく、そして適度にシリアス……というのはちょっと違うか。シリアス度はわりと高い。そう、シリアスな話ではあるのだけれども、息詰まるようなシリアスさという部分が、ユーモアでもってうまく緩和され、非常に読みやすい。
なんでこれが今まで絶版状態だったのか不思議ではあるけれども、しかしレムの他の作品と比べるとやはり二番手レベルになってしまうからなのかもしれない。
しかし、宇宙空間の描写、特に「狩り」における月面描写がすばらしいし、「事故」では登山小説の様相をしめすし、「テルミヌス」ではホラー小説の雰囲気、「ピルクスの話」ではファーストコンタクトに二アミスするという展開、あやうく、この本だけ読めば他のSF小説など読まなくってもいいのではないかとさえ思ってしまいそうになるくらいバラエティ豊かな内容だった。なかでも特に、「<アルバトロス>号」の皮肉な内容がよかったよ。

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