わが王国は霊柩車

わが王国は霊柩車 (ハヤカワ・ミステリ 880)

  •  クレイグ・ライス
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 1965-03

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とうとう、翻訳されたマローン物長編の最後の未読分に手を付けてしまった。
まあ今まで手を付けなかったのは単に文庫化されていなかっただけで、特に深い意味は無いんだけれども、これでマローン物長編はライスの死後に見つかった未訳が一つあるだけとなってしまった。
しかしこの最後の長編、一説には贋作という噂もあったりするので翻訳される可能性は少ないけれども、論創社あたりが翻訳してくれそうな気もするんだよなあ。
で、それはさておき、なんでこの本が未だに文庫化されないでいるのかというのが不思議なんだけれども、読み終えてみるとなんとなく後回しにさせられた理由もわからなくもない気がしてくる。どことなくマローン物っぽくないのだ。
全米女性の憧れの的、全米男性を虜にしまくっている化粧品モデル、デロラ・ディーンの正体は声、顔、胴体と脚、手首、足首とそれぞれのパーツを分担された五人の女性によって合成された架空のモデルだった。
そして手首を受け持つ女性が行方不明になり、化粧品会社の社長宛に、防腐処理された手首が送られてくる……。
今でいうところのバーチャルアイドルなんだけれども、うーむ、SFでならわかるのだが、ミステリでこんなネタを使ってくるとは思わなかったよ。恐るべしライス。
もっとも、テレビよりもラジオが主流だった時代だから、バーチャルアイドルを使ったとしても今よりもごまかしやすいといえばそうなんだけど、自分が思っているほど斬新なアイデアではなかったのかな、当時は。
その後物語としては、足首を担当していた女性が行方不明となり、防腐処理された足首が送られてくるという猟奇的な展開をしていくのだが、そこはやはりライスであって不思議と生臭くならないうえに最後はハッピーエンドで終わるあたりはさすがだねえ。

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