脳Rギュル 3 ソラと耳にルルとパラソルに囁くカゲ

訳　佐藤大
著　
販売元／出版社　小学館
発売日　2008-08-20

もっと続くだろうと思っていたらこの巻でお終い。
年は取りたくないもので、前巻がどういう終わり方をしていたのかすっかり忘れてしまっていたのだけれども、うーむ、なんだか前巻での展開もあっさりと終わらせて何事もなかったかのような新たな展開。
妙に過去を引きずらないというか、思いっきり過去を引きずっていながらも、直近で起こった出来事に関してはあまり引きずろうとしない人々らしい。まあ過去の出来事の方が直近で起こった出来事よりも個人的に重要だといえばそうなんだろうけれども。
果たしてこの巻にて全ての決着を付けることが出来るのだろうかと不安になりつつも、描きたい部分だけ描くという戦法にでたせいか、まあ主人公達の物語としては無事閉幕したわけで、まあこんな感じなのだろう。
不満に思うとすればやはり夢野久作らしくないことで、言葉尻と雰囲気だけは夢野久作なんだけれども、とりまく世界の蓋をこじ開けて中身をみてみたら全然違うじゃねえか。と、いいたくもなったけれども、これが跳訳だといわれればなんとなく納得してしまったりするからまあいいか。
しかし、エピローグの異様なまでのすがすがしさにはちょっと文句をいいたいよなあ、これのどこが夢野久作なんだ。個人的には好きだけどさ。