消滅の光輪

消滅の光輪 上  (創元SF文庫 ま 1-2)

  •  眉村 卓
  • 販売元/出版社 東京創元社
  • 発売日 2008-07

Amazon/bk1/livedoor/楽天ブックス


消滅の光輪 下 (創元SF文庫 ま 1-3)

  •  眉村 卓
  • 販売元/出版社 東京創元社
  • 発売日 2008-07

Amazon/bk1/livedoor/楽天ブックス


さすがに文庫にして上下巻1000ページ近くとなると怯んでしまう。昔はそんなことなどなかったのにと思うのだけれども、ようするに昔に比べて読みたい本が増えてしまったせいなのだ。ただせさえ読書力が衰えて来ているというのに、読みたい本は増える一方。死ぬまでにどのくらいの本を読むことが出来るのだろうかと思うと、焦るばかりなのだ。
とまあそれはさておき、この物語は元々は前編・中編・後編の三回で終わらせる予定だったせいか、早い段階で惑星が消滅する事を知らされ、テンポよく話は進む。この調子ならばこんなにも長大な話になるはずもないのにと不思議に思い始めた第二章あたりからなんだかおかしな雰囲気が漂い始めるのである。
惑星消滅という大事件に対して危機感が全然感じられないせいもある。まあサスペンスを目的とした話ではないのでそんな物が無いのは当たり前なのだが、それにしてもなんだかおかしい。
そんな風にして違和感を感じながら上巻の中盤付近まで読み進めていったあたりでようやく理解することが出来た。描かれている事柄があまりにも大きすぎてその大きさと激しさを感じることが出来なかったのである。物語が大きく動き出した時点でようやくその事がわかった。
この惑星の先住民の驚くべき秘密といった部分で、SFとしての面白さってのは確かに存在するのだけれども、そんなものさえ霞んでしまうほどの面白さがそこにはある。主人公の司政官としての物語そのものがむちゃくちゃ面白いのだ。
三回で終わらせる予定の物語がこんなにも長大な物語になった理由もわかる気がする。傑作かどうかという以前に金字塔と呼びたい作品だ。
こんなにも豊饒な物語を描いてしまうなんてなんて凄いのだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました