カタブツ

カタブツ (講談社文庫 (さ95-1))

  •  沢村 凛
  • 販売元/出版社 講談社
  • 発売日 2008-07-15

Amazon/bk1/livedoor

『ヤンのいた島』でファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した沢村凛だが、文庫化されたら読もうと思っていたら未だに文庫化されず、なんだか出だしからつまずいてしまったような気がして、新作が出るたびに気になっていた作家でありながら、今まで読む機会がなかった。いや、機会がなかったというよりもきっかけがつきにくかったといった方がいいのだろう。
で今回、講談社からこの本が文庫化されたのだが、『ヤンのいた島』を読む前にこちらを先に読んでしまってもいいものなのだろうかとやっぱり少し逡巡してしまった。
まあそれはともかくとして、ファンタジー作家だという印象があったのだけれども、印象はあくまで印象に過ぎず、ファンタジーではない物であってもこれが面白い。
地味といえば地味な話ではあるけれども、なかなか面白い部分に着眼したわけで、この本の主人公達は融通の利かない人々であり、融通が利かない故に日常の何気ない出来事が本人に苦労を強いる結果となるのである。
そして、バッドエンドだったり、ハッピーエンドに終わるかと思ったら最後の一言で宙ぶらりんの状態になって終わってしまったりと、不幸に終わる話が多い中で、最後の話はハッピーエンドで終わるので、後味がよいのだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました