- 著 アレステア レナルズ
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2008-08-06
ニュー・スペースオペラ組としては順調に翻訳がされていって、なおかつ順調にページ数が増えているレナルズの新作。
順調にページ数が増えていながらも、京極夏彦の『絡新婦の理』にはまだまだ及ばないところがちょっと悲しい。
しかも、シリーズ最長の長さとなりながらも、全然話が終わっていないのは一体どういうことかと作者に問いつめたくなる。ちょっと無駄な部分が多すぎるんじゃないかとも思うのだが、しかし今回はいろいろと端折っている部分が多く、たとえば、星間宇宙船を分捕ろうとするところでは、派手なドンパチが行われるのだろうと思いきや、別視点のエピソードが語られた後で視点が戻ってきたときには既に宇宙船は奪い取った後だったりするのだ。
そんな風に、場面が切り替わって戻った時には既に事が終わっているというシーンが多く、作者も息切れしているんだなあと思ったりもしたんだけれども、多分違うだろう。自分が書きたいシーンしか興味がないのだ、この作者は。
「銀河極北」を読んだ後では、人類の敵であるインヒビターなどどうでも良くなってくるあたりも含めて、地獄級兵器やその他もろもろ、これでもかとばかりに投入されるガジェットが、登場したときにはとんでもない代物のように扱われながらもインフレを起こして次々と矮小化していくあたりが読んでいて楽しい。
コメント