- 著 たがみ よしひさ
- 販売元/出版社 ぶんか社
- 発売日 2008-07-19
- 著 たがみ よしひさ
- 販売元/出版社 ぶんか社
- 発売日 2008-07-19
『軽井沢シンドローム SPROUT』の連載が終わり、氏の新作が途絶えてからはや二年の月日が経ったわけで、そろそろ新作が読みたいところなんだけれども、ブログを見る限りではなかなか難しいようで、まあファンとしては気長に待つこととしようじゃないかと思っているけれども、新作は出ない変わりに過去の作品の文庫化はされ続けていて、今回は『滅日』が出た。
もともとは五巻だったものを上下巻の二冊にまとめたので文庫サイズとはいえどもけっこう分厚い。
ジャンルとしては伝奇物の部類に入るだろうけれども、たがみよしひさ特有の寂寥感というか虚無感はいつものごとくで、好きな人にはたまらない物がある。さらにいえば今回の主人公は劣等感というかコンプレックスのかたまりで、それでいながらじめじめとはしていなく、やはり乾いている。
そして中盤過ぎてこの主人公が死んでしまうあたりからがジャック・ゴールド監督の『メデューサ・タッチ』を彷彿させるような展開で素晴らしいのだけれども、物語を暴走させずに強引ながらも手際よくまとめてしまっているところが、物足りないといえば物足りないのだが、ああ、やっぱりそういうところが、たがみよしひさの持ち味なんだよなあと思うのだった。
上下巻にそれぞれ二頁のあとがき漫画があるけれども、これもいつものパターンなのでニヤリとしてしまう。
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