- 著 はやみね かおる
- 販売元/出版社 講談社
- 発売日 2008-07-15
前作の『魔女の隠れ里』が、血なまぐさい殺人事件を起こさずに見事なミステリに仕上げておきながらも、陰鬱な気分にさせられる真相があったのに対して、反省して改心したのか、はたまた毒を出し切ったのか、今回は実に爽やかで心ときめく結末になっている。
しかも、『亡霊は夜歩く』のレーチこと中井麗一がふたたび登場。前回は文化祭、そして今回は夏祭りである。ああ、夏祭りも文化祭も、青春恋愛物語に必須なイベントなのだ。ちゃんとわかっているじゃないかと作者の肩をたたきたくなる。
でもって今回はレーチが予想外に活躍するので、読者としてはレーチの応援をしたくなるのだが、わざわざ応援しなくってもしっかりと順調に恋愛模様は進んでいくのでこれまた実に安心して読むことが出来る。
まあそのせいで肝心のミステリの部分はどうでもいいというか、昔は好きだったけれども、身の程をわきまえるようになってからは無理して解こうとは思わなくなった暗号問題なので、それなりに読み飛ばしで、それでいいのかとも思うのだけれども、読んだ本人はそれでも楽しんだのでまあいいではないか。
みんな幸せだったし。
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