ポドロ島

ポドロ島 (KAWADE MYSTERY)

  •  L・P・ハートリー
  • 販売元/出版社 河出書房新社
  • 発売日 2008-06

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「豪州からの客」が収録されていなかったのは残念なんだけれども、これは『憑かれた鏡』の方に収録されていたからということで、読みたくなったらそちらの方をを読んでみることにするか。
というわけで初っぱなからがっかり感があった状態で読み始めたのだけれども、冒頭に置かれた表題作「ポドロ島」を読んだらあまりのすばらしさにそんながっかり感など吹き飛んでしまった。
真相は藪の中ということなんだけれども、そこに至るまでの不協和音が素晴らしい。
「捕まえることができなかったら殺すまでよ」とか「この国では猫は殺してはいけない」とか意味深な言動や行動がそこらかしこに散りばめられて、理屈で捕らえきれない何かが横たわり続けているのだ。
そうかと思えば「足から先に」では幽霊に対する対処法が論理的なかたちで考えられていたり、それでいてそんなものさえ吹き飛ばしてしまう終盤の展開は唖然とさせられるのだが、これはこれでなかなか面白かったりする。
しかし個人的には短い話ほど好み話になっていて「夜の怪」と「合図」がよかったかな。
特に、恐ろしいことが起こっているとも、何も起こっていないとも両方に解釈できる「合図」がよかったよ。

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