- 著 野田 昌宏
- 販売元/出版社 東京創元社
- 発売日 2008-06
記事のタイトルをどうしようかと悩んだんだけれども、やっぱりこちらの方にした。
1983年にSFマガジン増刊号として発売された『キャプテンフューチャーハンドブック』は、後になってあのとき買っておけばよかったのにと、後悔することになった何十冊もの本のうちの一冊なのだが、過去を悔やんでもしかたがない。そもそも、あの当時は既にキャプテンフューチャーに対する興味が薄れていた時代なのだからどんなに未来から過去に対して念じてがんばったところで買った可能性などゼロに等しいのだ。
しかし、まさか今頃になってキャプテンフューチャーに対する熱がふたたび蘇るとは思わなかったよ。全集が刊行されたってのが一番の原因だけれども、それでも、めったに再読なんてしない自分が『恐怖の宇宙帝王』なんかをよろこんで再読することになるとはねえ。
そう考えると三つ子の魂百までというべきか、スペオペ大王だった野田昌宏の影響ってのは大きいんだよなあ。そもそも氏の影響がなかったら久保書店のQ-TブックスやSFノベルズなんて読まないよ、今更。
さて、中身の方はといえば、良くも悪くも野田昌宏版キャプテンフューチャーで、けっしてハミルトンが野田昌宏に乗り移って書いたキャプテンフューチャーではない。そんなわけだから、野田昌宏がハミルトン版キャプテンフューチャーに対して物足りないと思っていただろう部分はこういう部分だったのか、などといろいろと邪推できたりするので楽しいのである。
野田昌宏が教えてくれたのは、この世につまらないSFなど無いんだよ、ということなのかも知れない。
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