- 著 フレドリック・ブラウン
- 販売元/出版社 東京創元社
- 発売日 1967-06-20
フレドリック・ブラウンのミステリにはいくつか特徴があって、その一つに主人公が新聞記者であるというのがある。主人公が新聞記者という設定がわりと多いのである。
もっともこれは、事件を捜査するのに主人公が新聞記者という設定は都合がいいからだけで、別に不思議なことでもなんでもない。
で、この本の主人公もやはり新聞記者なのだが、日刊紙ではなく地方の片田舎にある小さな週刊紙の記者なのである。週に一回しか発行しない新聞、交換手を経由してかける電話、そしてモーテルと、書かれた当時はサスペンスフルな物語だったのかも知れないが、今あらためて読み直してみると古き良き時代という言葉がぴったりと来るような、時が経って熟成されたワインのような、どこかゆったりとした物語になっている。
鍵のかかったモーテルの一室で女性が殺され、それなりに怪しい人物がうろつきまわり、かけられた鍵の謎についてそれなりに論じられ、それなりに意外な犯人と、それなりに意外な真相が明らかにされ、それなりに幸せな終わり方をする。
なので、けっして傑作などではない。そりゃそうだ、ブラウンの評価なんてだいたい定まっていて、そこにかすりもしない本作が傑作であるはずもない。
だからといって読むにあたいしないかといえばそんなことはない。ブラウンのミステリが好きならば、読んでよかったと思うことの出来る一冊だ。
コメント
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