- 著 長谷 邦夫
- 販売元/出版社 水声社
- 発売日 2008-04
評伝もしくは評論だと思っていたのだが、作者の言葉によればそのどちらでもなく、あくまで小説ということだった。そういう意味では、『漫画に愛を叫んだ男たち』と同じである。
ただ、読んでいる最中はやはり、実名を出してそしてここまで生々しく書かれているとフィクションという感じはせず、あくまでノンフィクションを読んでいるような気がしっぱなしだった。
しかしなあ、しかしだ、読み終えて自分の中であるていどこの物語が消化できてくると、やっぱりこれは長谷邦夫による小説だったのだと思った。
「天皇に捧げるマンガ」や「かんにんしてやゴメンやで」などはそうだよなあ、ノンフィクションとしても通用するかもしれないけれどもやはり小説なのだ。
今まで、漫画編集者を主人公にしてここまで生々しく描いた小説が無かっただけ、いや、あったのかもしれないので単に私がその存在を知らずに読まずに来ていただけとしておこう、であって要するにこういう話に耐性がなかっただけなのだ。
なんていうふうに思っていたら『金色のガッシュ!!』の作者が小学館を訴えるというもっと生々しい事件が起こってしまったので驚いたのだが、それはそれとして、ひょっとしたら、何かとんでもない物が生まれた瞬間に立ち会ったのではないかという気がするのだが、それはやはり作者の今後の活躍次第だろうなあ。
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