- 著 A・E・ヴァン・ヴォクト
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 1971-06
マイクル・スワンウィックの『グリュフォンの卵』に収められていた「時の軍勢」がヴァン・ヴォクトっぽいなあと思っていたら『地球最後の砦』のオマージュだという話を知って、探し出して読んでみた。
おお、これは確かにそうだ。うれしくなるほどスワンウィックはヴァン・ヴォクトを真似している。
それにしてもヴァン・ヴォクトって人は自分のことを神か何かそれに近い存在だと思っていたんじゃないのだろうか。
ここまで無茶で破綻しきっている物語を圧倒的なパワーで最後まで押し切ってしまうのは普通の人間じゃ出来っこない。まあ大抵は書き上げても恥ずかしくって世に出せないだろう。
後にも先にもこんな芸当が出来て、そしてそれが許されるのはヴァン・ヴォクトだけなような気もする。いやちょっと言い過ぎか。
しかし登場する人物のどいつもこいつも超人的な能力を発揮し、というか凡人として登場したはずの人間ですら物語が進むと驚くべき能力を発揮するのだから呆れて物も言えないのだが、何よりもラストの一文が凄まじすぎる。
可哀相に、何も知らないスーパーマン。
超人ですら「可哀想」といわれる扱いなのである。ヴァン・ヴォクトは自分のことを神か何かそれに近い存在だと思っていたに違いない。
コメント