- 著 我孫子 武丸
- 販売元/出版社 文藝春秋
- 発売日 2008-03-07
うーむ、実に変な話だった。
読み終えて、さすがは『殺戮にいたる病』を書いた作者だけのことはあるなあとひたすら感心してしまったよ。
『殺戮にいたる病』は「無責任社会派」などと言われたりしたのだけれども、この本も似たような感じだよなあ。
とにかく薄い本なので、複雑な事件などは起こらない。いたってシンプルで、それ故にどうでもいいような事件というか、謎そのものにあまり魅力が感じられないところがちょっと難点かも。しかし、どうでもいい謎などあるわけもなく、何かしら作者が企んでいるわけで、この物語がどんな地点へと着地するのだろうかと気になりながら読み進めるのだが、なかなか着地地点が見えない。しかしあまりにも見えなさすぎるので、もうどうなってもいいやという気分になってきたあたりの残り10ページほどで愕然とする。
いやはや、まあちょっとうまく出来すぎ何じゃないかと思う部分もあるけれども、一気に謎が解決してそして何よりも驚くのは身も蓋もないというか、なんとも無責任な結末の付け方なのだ。
うーむ、この酷い結末に思わず感心してしまったのである。
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