- 著 北山 猛邦
- 販売元/出版社 講談社
- 発売日 2008-03-14
最初の舞台は、日本最北の地に建てられた「最果ての図書館」である。「1989年 日本」となってはいるものの、現実味など全くなく図書館の外には何もない空間が広がっているだけじゃないのかと思ってしまう。
さらにだめ押しで主人公たちは何度も「生まれ変わり」を繰り返しているというのだ。
思わず目眩がしそうな展開になってくるのだけれども、幻想ミステリとして考えれば作品全体に流れる雰囲気そのものは悪くはなく、これらがどのように合理的に解釈されるのかという部分に興味が出てくる。
しかし、読み手の期待はあくまで勝手な期待であって前作と同様に、「これはそういう設定なのだ、合理的な解釈など存在しない」という作者の言葉が響き渡る。
というわけで、何処までの部分が基本設定でどこからがミステリとしての合理的な解釈がつく領域なのかという部分が曖昧だった点が不満でもあるけれども、前作と同様、首を切断した理由が素晴らしかった。
あまりにも身も蓋もない切断理由に、次作でもとんでもない理由で首を切断してくれないものかと期待をしてしまうのである。
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