- 著 岩岡 ヒサエ
- 販売元/出版社 講談社
- 発売日 2008-03-31
箱の中には何が入っているのだろうか。
SF者であれば、猫と答えるんじゃないだろうか。生きているのか死んでいるのかよく分からない可哀想な猫である。
京極夏彦ファンであれば、生首と答えるだろう。こちらもまた、生きているのか死んでいるのかよく分からない可哀想な首である。
リチャード・マシスン好きならば……、いやもうこれ以上考えるのはよそう。SFファンやミステリファンの考える箱の中味はほとんど無条件に嫌な物ばかりである。
しかし、嫌な物しか思いつかない自分もどうかと思うのだけども、だからこそ、こういう作品に出合ったときに非常にさわやかで新鮮な驚きを味合うことが出来るので、嫌な物しか思いつかない自分もそんなに悪いわけではないのだなと思うのである。
まあそれはともかく、岩岡ヒサエの考える箱の中には音が詰まっていたのである。
空っぽの箱の中には音が詰まっている。
ああ、自分の中のどす黒い何かが全て洗い流されていくような爽やかさだ。
音の表現としての新味こそないけれども、岩岡ヒサエの描く小さなキャラクターたちがいろいろと悩みながらも健気にいや、健気というよりもけっこうしぶとく成長していく様を見るのは心地よい。
コメント
オトノハコ/岩岡ヒサエ
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【―――「よかった。みんなで作るんだ。」
弱小合唱部に入部した高校1年生・田辺きみ。合唱の恋と青春の物語!!
「変な声」
そう言われたことがある。
でも、高校入学から毎朝響いてくる歌声が気になって