- 著 いしかわじゅん
- 販売元/出版社 バジリコ
- 発売日 2008-01-25
前作にあたる『漫画の時間』が出てからもう12年も経っていたとは……。
とにかくこの本は面白かった。
今までに多少はいしかわじゅんの漫画を読んだことはあったのだけれども、『漫画の時間』はいしかわじゅんの描く漫画よりも面白かったのだ。
なによりも実作者としての視点を中心として、批評がブレていないところが素晴らしい。
僕自身、感想などと逃げを打って、こんな駄文を書き散らしているけれども、ああ、文章そのものは下手でもいいから視点としてはぶれない文章を書きたいものだ。
それはともかくこの本のおかげで、木崎ひろすけの存在を知ることが出来たのは僕にとって一番の収穫だったのだが、あれから12年。木崎ひろすけは未完の長編二作とかろうじて完結させた長編一作を残して逝ってしまった。
この本で紹介されていた『GOD GUN世郎』をあちこち探し回り、ようやく見つけて買った書店はそれから数年後につぶれ、その跡地は古本屋になり、その古本屋も数年後につぶれ、今ではゴルフ用品店になってしまっている。
で、『漫画ノート』が出た。
とにかく分厚くて読み甲斐があったのだが、読んでいてドキリとしたというか、『失踪日記』を読んだときに心の奥底では分かっていながらも深く考えないでいた、ある真実に触れていたのがこの本の一番最後にある吾妻ひでおの話。
漫画を書くことから逃げながらもガス会社の社内報にイラストを描いていたのはやはりそうだったのだ。
業としか言いようがないよなあ、これは。
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