ザ・テラー -極北の恐怖-

ザ・テラー―極北の恐怖 (上) (ハヤカワ文庫 NV (1156))

  • その他 嶋田 洋一/
  •  ダン・シモンズ/
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2007-12

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ザ・テラー―極北の恐怖 (下) (ハヤカワ文庫 NV (1157))

  •  ダン・シモンズ/
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2007-12

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史実の中にフィクションを盛り込むという点では建倉圭介の『デッドライン』と似ているが、あちらが箱根の寄木細工だとすればこちらはチェーンソーで豪快に彫られた丸太の木彫りといったところ。もっとも登場人物も実在の人物を登場させているので『デッドライン』よりもマックス・アラン・コリンズの『タイタニック号の殺人』と比較した方がいいかもしれないが、『タイタニック号の殺人』と比較したところで豪快という印象は全然変わらない。
史実では、探検隊は全滅し生存者は発見できなかったわけだがシモンズ先生はそこのところで、最後に全員死なせて辻褄をあわせてしまえば後は何をしても構わんとばかりにやりたい放題を繰り広げてくれる。
謎の怪物が登場して隊員たちを殺戮し始めたので、これはひょっとして探検隊が全滅したのはこの謎の怪物のせいだという設定なのかと思いきや、平行して食糧不足による体力低下や氷に阻まれての難破、部下の叛乱などが描かれる始末。これなら怪物なんか登場させなくったって全滅してしまうよと思うのだが、シモンズ先生は登場人物いじめを止めようとはしない。持てる想像力を駆使して探検隊に苦難を与え続けるのだ。
さすがにちょっと引いてしまったよ。
それでいて最後にはちょっとだけえこひいきというか登場人物を見捨てきれない優しさを見せるのだから酷い人だ、シモンズ先生。

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