海外編に対して、国内編がでた。
今回の著者は千街晶之。
千街晶之の単独ではなく共著ではあるけれど『本格ミステリ・フラッシュバック』が面白かったのでどんなセレクションになるのか期待していたけれども、一筋縄ではいかないセレクションになっていた。
しかも、先の海外編と同様、現在新刊で入手可能である作品でなければならないという制約もあるので、このセレクションならば選ばれても不思議ではない作家の作品が選ばれていないという状況は起こっているけれどもそのあたりも適宜フォローされているので納得して読むことができる。
とはいうものの、ここに挙げられた作品のどの位が既読なのかというと三割り程度だったので、まだまだ読み足りないなあと思わさせられてしまう。
横溝正史で『夜歩く』を選んでいたり、東野圭吾で『天空の蜂』を選んでいるとか、有名な作品を外してこういうところを選んでくる当たりが大胆でもあり強気な選択だなあと思ってしまう。その一方で、小栗虫太郎は『完全犯罪』を選んでいて、小栗虫太郎の場合は作品数も少なく選ぶとすれば『黒死館殺人事件』の一択だろうと思ってしまうところを、初心者にいきなり『黒死館殺人事件』は厳しすぎるのでという理由もあって『完全犯罪』を選択しているあたりはマニア向けではなく初心者向けにも大丈夫な配慮がなされている。
こういう本を読むと、自分だったらどういう作品を選択するだろうかと自分なりのマストリードを作ってみたくなる。
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