- 著 貴志 祐介/
- 販売元/出版社 角川書店
- 発売日 2007-10
その階に止まるためには暗証番号を入力しなければならなく、そして廊下には監視カメラ。おまけに犯行現場となった12階の部屋の窓は防弾ガラス。と、完璧な密室状態での殺人事件なのだが……。
そんなに簡単に侵入できるとは思わなかったよ。おまけに何度も侵入しているし。
実は秘密の抜け道がありましたと言われてもおかしくはないくらいにとんでもない方法で侵入していて、そんな方法気付く方がおかしいよと思うのだけれども、不思議と納得できてしまうのはそこに至るまでの手続きがしっかりとしているからで、まあこれでもかとばかりに、侵入方法に対してのあらゆる可能性をしらみ潰しにつぶして言っているのだ。
ここまでやったのであれば、最期にこういう手段で行われたのだと言われても納得してしまう。もっともここまでくるとミステリではない何か別な小説を読んでいるような気分にもさせられるのも事実だが。
それにしても次第に探偵役が嫌な人物に見えてきてついつい犯人の方に感情移入してしまうのだが、ぎりぎりのところで踏みとどまることが出来るのは犯行動機だろうなあ。そこまで狙って書いたのかどうかはわからないけれども、あんな動機で殺人を犯すような人間には同情は出来ないなあ。
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