- 著 皆川 博子/
- 販売元/出版社 扶桑社
- 発売日 2001-08
うーむ、自分の責任とはいえ、その場の勢いだけで買ってしまったことを思いっきり後悔している。
そもそも、今回の講談社ノベルス25周年記念企画「綾辻・有栖川 復刊セレクション」が怪しいのは戸川昌子の『火の接吻』で既に知っていたはずで、今回復刊した本は必ずしも入手困難な物ばかりではないことを頭に入れておけば良かったのだが、すっかり忘れてしまっていた。
皆川博子の『聖女の島』だって扶桑社文庫の<昭和ミステリ秘宝>シリーズの一冊として『花の旅夜の旅』とのカップリングで出ているではないか。どちらがお得なのかは言うまでもない、事前にチェックしておくべきだった。そもそも都筑道夫の『顎十郎捕物帳』だって一巻しか復刊しないし……。
まあそれはさておき、解説で恩田陸が絶賛していたが、いかにも恩田陸が好みそうな話だった。
三十一人の少女が収容される島。三人が死に二十八人になったはずなのに三十一人いる。
なんてあおりを受けて期待して読み始めるとなにやら自己中心的な収容所所長の女性が登場して、一方的に語りはじめるあたりから嫌な雰囲気が漂い始める。
謎解きというよりも、どことなく雲がかっていて曖昧な、そして非常に嫌な雰囲気が漂いまくっている展開をし続けるのである。
そして最期まで読み通してみると、この曖昧で嫌な雰囲気の原因がよくわかるのだ。
嫌な話だったのだが、たしかにこれは凄い。
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