- 著 道尾 秀介/
- 販売元／出版社 幻冬舎
- 発売日 2007-10
- 著 道尾 秀介/
- 販売元／出版社 幻冬舎
- 発売日 2007-10
確かに、怪異に対するアプローチの仕方は京極夏彦の＜京極堂＞シリーズとよく似ている。『陰摩羅鬼の瑕』以降、こちらが求めている路線とずれてきだした＜京極堂＞シリーズに過去の路線を求めるよりも、道尾秀介のこのシリーズに求めた方がいいのかもしれないなあ。
といっても、怪異が全て合理的に解かれるわけではなくあくまでホラーとしての要素も残したままなので、あまり期待しすぎるとそのあたりに不満が出てきてしまうだろう。
背中に写った眼という怪異が焦点でありながらそれとは無関係とも思える子供の行方不明事件があったり、既に事件らしい事件は終わってしまっているせいなのかサスペンス風味はほとんど無く、どこかのんびりとしてユーモラスな話展開は、ホラーがあまり好きではない身にとっては好都合だった。
もっとも、最期の謎解きがなされるまで、そこで起こった出来事が人為によるものなのか怪異なのかわからないままという展開は驚いた。確かにこれは凄い。
もう一つ驚いたのは物語上、怪異が存在するという展開を見せておきながらも後味の良い終わり方をしていたことである。
事件そのものの後味はそれほどよいものではなかったのだが、それをうち消す形でうまく使われているのである。
ところでデビュー前は多田秀介名義でネットで作品を公開していたんだね、この人。探したらこんなものがあったよ。
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