- その他 酒匂 真理子/
- 著 ロバート・シェクリー/
- 販売元/出版社 東京創元社
- 発売日 1985-02
私の場合、ロバート・シェクリイの話に求める物がフレドリック・ブラウンの話に求めるものと全く同じなので、作者にとっては理不尽だろうけれども、どうしても切れ味のいいオチのついた話を期待してしまうのである。
しかし、シェクリイが毎回毎回、ブラウンのような話を書くわけではなく、むしろそういう傾向の話はごく一部であってシェクリイの主流部分ではないのである。
そんなわけだから、シェクリイと聞けば胸をときめかせてしまう反面、いざ読んでみるとなんだかもやもやとした、非常に中途半端な読了感を感じてしまうのだ。
そして今でも、それは続いていて理性では理解しているのだけれども、感覚的には理解できていないわけで今回もやはりなんだかもやもやとした中途半端な読後感な残ったままなのであった。
例えば、三つの願いを叶えてやろう、しかしお前の敵にはその願いの2倍を与えるけどな、などとと悪魔が言ってきた「倍のお返し」などはついついオチを期待してしまうのだけれども、ちょっとオチが期待はずれだったり、芥川龍之介の「藪の中」のような話になるかと思った「シェフとウェイターと客のパ・ド・トロワ」は最期にまわり回ってうまくかみ合うのだろうと思ったら全然かみ合わなくってがっかり。まあ貫井徳郎の『プリズム』とまでは期待しなかったんだけどね。
もっとも全体としてはそれなりには楽しめたわけだから、自分にとってのシェクリイってのはこういう位置づけなんだろう、というかシェクリイはもっと若いころに読むべきだったよなあ。
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