- 著 黒川 博行/
- 販売元/出版社 幻冬舎
- 発売日 2007-10
- 著 黒川 博行/
- 販売元/出版社 幻冬舎
- 発売日 2007-10
桑原、二宮コンビが迷走する<疫病神>シリーズの三作目。それにしても一作目の『疫病神』は新潮社で、二作目の『国境』は講談社。そして三作目は幻冬社と、シリーズものなのに出す出版社が毎回変わるなあ。
コンビといいながらも片方はやくざで片方は一応は堅気、けっして仲がいいわけではなくその力関係は一方的。役割分担も桑原が暴力面で二宮が知力面を担当するわけでもない。コンビになる理由はただ一つ、疫病神の桑原によってトラブルに巻き込まれてしまった二宮が、自分の身を守るために桑原を巻き込もうとするからである。やむを得ず協力関係を結ぶのではあるが、けっして仲がよくなるわけではなくいつ決裂してもおかしくない二人のコンビ具合はいつもの事ながら絶妙のさじ加減である。
今回は「どいつもこいつも腐ってやがる」と二人とも叫ぶ。もっとも桑原は自分の方だって腐っているので人のことを言えた義理ではないのだが、それでも自分の住む世界というのをわきまえている。堅気の世界の住人でありながら極道のようなことをしているやつらに対して彼らは腐っていると叫ぶのだ。
この本を読んでいると腐りきった現実を見せつけられ、そしてこの世の中に嫌気がさして来るのでついつい彼らを応援したくなってくるのである。
コメント
ヤクザと警察は紙一重??:暗礁
暗礁 上 (1) (幻冬舎文庫 く 10-1)作者: 黒川 博行出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/10メディア: 文庫 暗礁 下 (3) (幻冬舎文庫 く 10-2)作者: 黒川 博行出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/10メディア: 文庫 黒川博行の持ち味がたっぷりと出た作品。これもシリーズ物らしいが、初めてでも楽しめた。 キャラクターの大阪弁(と沖縄弁)が魅力的な作品である。