光文社古典新訳文庫から出たクラークの『幼年期の終わり』が、1989年にクラーク本人が一章の部分をまるまる書き直した版からの翻訳だったので思わず買ってしまった。
クラーク本人によるまえがきや巽孝之の解説といい、けっこうこれはお買い得で、読むのが楽しみ。やるなあ光文社。
で、光文社といえば……。
- 著 石持 浅海/
- 販売元/出版社 光文社
- 発売日 2007-09-21
『セリヌンティウスの舟』のあまりの展開に衝撃を受けてしまい、積極的に読みたいと思う気持ちがちょっと薄れてしまった石持浅海なんだけど、『月の扉』の座間味くんが登場するとなればついつい手が出てしまう。
最近書かれ始めたのかなと思っていたら、巻末の初出を見ると、かなり昔から書かれていたのにちょっと驚いた。
最終話を除けば全ての話においての基本フォーマットが全く同じというのがなんとも心憎いところで、事件の発生から始まり、書店での待ち合わせ、そして店に入って酒を飲み食事をしながら事件のあらましが語られそして最後に事の真相が座間味くんの口から語られるのである。
ここで語られる全ての事件は、表面上は解決済みであるあたりも作者らしいところなんだけど、謎が解明されるだけであって犯人に対する懲罰までの面倒は見ないで終わっているので安心して読むことができた。
惜しむらくは座間味くんには長編で活躍して欲しい気持ちがあったので、短編よりも長編の方がよかったかなあと思ったんだけどまあこればかりは仕方ないところか。
コメント