- その他 仁賀 克雄/
- 著 チャールズ・ボウモント/
- 販売元/出版社 論創社
- 発売日 2007-10
発音が「ボーモント」よりも「ボウモント」の方が近かったということでこれからは「ボウモント」で行きたいなどといやに強気な発言だなあと思う反面、「これからは」という言葉にひょっとしてボウモントの短編集の第二段も出してくれるのかと淡い期待を抱いたりしてしまう。
「ボウモント」が根付くかどうかは別として、「ただの土」とか「子守歌」とかハヤカワNVの『怪奇と幻想』に収録済みの物を何で入れるんだと思ったらこの本、ボウモントの第一短編集の全訳だった。仁賀克雄フィルターがかかっているのでついつい批判的に見てしまうんだよなあ。
とりあえず解説の方を先に読んだので上記のことがわかって、ついつい批判的に見てしまったことに申し訳ない気持ちで最初から読み始めたのだけれども、読んでみるとどうも面白くない。
ボウモントということで期待しすぎたのかなこれはと思ったんだけれども、賞味期限切れといった感じが強すぎる。もっとも全部が駄目というわけじゃなくって一部が駄目なんだけど、駄目な部分が良い部分を殺してしまっている。やっぱり全訳するくらいだったらベストを編んだ方が良かったんじゃないのかな。
などと思っていたら「ブラック・カントリー」で度肝を抜かれてしまった。
ミステリでもSFでも、奇妙な味でもないのだがいや、奇妙な味はちょっとあるか、ボウモントの描く情感が素晴らしいのはなんとなくわかっていたんだけど、奇をてらわずど真ん中の直球を投げたらこんなに凄いとは思わなかった。ジャズ小説としても素晴らしい。
不満たらたら読んできたけどこの一編で全てが吹き飛んでしまった。
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