メフィストの牢獄

メフィストの牢獄 (文春文庫 ス 8-4)

  •  マイケル・スレイド/
  • 販売元/出版社 文藝春秋
  • 発売日 2007-10

Amazon/楽天ブックス


災難男はジンク・チャンドラーだと思いこんでいたら、『髑髏島の惨劇』で登場したニック・クレイヴンがその後がまに座ってしまったようだ。まあ考えてみるとジンクはけっこうな年齢になっているはずだし、これ以上痛めつけられるとあっさり死んでしまうだろうから若手の頑丈そうな人間にバトンタッチしてもおかしくはないのだが……、打たれ強そうなやつにバトンタッチしたらそこまでやるかこの作者と思ったよ。
ニックを人質にとっておいてカナダ連邦騎馬警察に自分の探している秘宝を探させるというあたりはまだしも、一日経過するごとに肉体の一部を切り取って送りつけるなんて酷すぎる。『ヘッドハンター』の頃と比べれば肉体的には衰えたが精神的にはタフになったディクラーク警視正じゃなくっちゃ立ち向かえないよ、今回の犯人は。
小説は相変わらず下手だけども、登場人物に苦しみを味あわせる手腕だけは相変わらずうまく、今回初登場したアメリカ人捜査官のジェナ・ボンドの過去とニックの人質とがうまく組み合わさって登場人物に凄まじい苦難を与えているのである。
警官が誘拐されたということでカナダ連邦騎馬警察の総力戦になるのかと思いきや、そうはならず、事件解決のためのとんでもない秘密兵器が登場するあたり、ディーヴァーよりもいち早く「ロカールの交換法則」を使ったスレイドの面目躍如といったところ。『地理的プロファイリング』のキム・ロスモを登場させるんだからなあ。
ラスト二ページ目で明かされる犯人像や、肝心要の秘宝の謎が結局はマクガフィンでしかなかったあたり、さすがは読者を驚かすためであればどんな反則技であろうと使ってしまうスレイドである。
ヘッドハンター
グール
カットスロート
髑髏島の惨劇
暗黒大陸の悪霊
斬首人の復讐

コメント

タイトルとURLをコピーしました