『もっと厭な物語』文藝春秋編

  • もっと厭な物語 (文春文庫)
  • 編: 文藝春秋
  • 販売元/出版社: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/2/7

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解説に書かれているように、人は何故、あえて嫌な物語を読もうとするのかということに関しては、僕自身の子供の頃を振り返ってみると、僕の場合は人類が滅亡するとか滅亡しそうになる、あるいは地球が滅ぶ、もしくは滅びそうになるといういわゆる破滅物のSFを好んで読んでいたのでなんとなくわかる気もするけれども、ただ、僕の場合は以前にも書いたことがあるように、滅亡してしまうことが好きなのではなく、滅亡からいかにして逃れるのかもしくは防ぐのかという部分にも焦点が当たっている。だから嫌な物語も嫌いではないけれど、大好きというわけではない。
今回も、前巻と同程度の分量なので、気が滅入る前に読み終えることができるのはありがたいが、延々と厭な物語を読み続けるのもしんどい。
その点でいうと、今回は一部をのぞいて日本人作家の話はそれほど厭な話ではなく、箸休め的な配置になっていて、構成もふるっている。例外は草野唯雄の「皮を剥ぐ」だけれど、これは題名からしてすでにどんな話になりそうなのか予想がつくから心構えもしておくことができる。もっとも心構えをしていても厭な気分にさせられる話であることには変わりがないけれど。
クライヴ・バーカーは『血の本』のイメージが強すぎてダーク・ファンタジー系の話を書くようになっても読む気が起こらない作家だったけれども、「恐怖の探求」を読んでみてやっぱり読まなくってもいいかという気持ちにさせられた。もっともここまで来るとなんだかギャグと紙一重という部分もある。
解説の後に、さらに一遍存在するのが前巻と同様で、今回はルイス・パジェットの「著者謹呈」。いやあルイス・パジェットの短編を読むことができるなんて嬉しいなあと思いつつ、読んでみると、これがそれほど厭な話ではなくって、最後の一ページまで楽しませてくれる。
シャーロット・バーキンス・ギルマンの「黄色い壁紙」は個人的に思うところがありすぎて読むのにつらすぎる話だった。

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