- 著 リサ メイスン/
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 1992-12
SFというよりも未来社会を舞台とした普通の小説といった感じだった。月並みな表現かも知れないのだが読んでいてさっぱりワンダーを感じさせないのだ。
これをそっくりそのまま現代に移し替えるのはちょっと困難なのだがしかし、置き換えてしまってもやりたかったことは出来るんじゃないのかともおもってしまう。
そう思わせる理由の一つとして、中途半端に古びてしまっているせいもあるのかもしれない。舞台となるのは、大震災で一度壊滅した後に復興したサンフランシスコで、ここで描かれている未来の社会はかなり面白いのだが、サイバーパンク版「ガーンズバック連続体」といったところで、もう少し時間が経てば懐かしささえ感じさせてくれるに違いない。
もちろん事件の真相部分においてはSF的な面白さもあるのだが、読んでいるうちに邪魔になってくる。そこがこの本のSFとしての欠点なのだろう。
読後感は柾悟郎『ヴィーナス・シティ』かなり似ているので『ヴィーナス・シティ』が評価されたのならばこちらも同じように評価されてもいいのにとも思うのだが、今となってはSFとしては無理だろうなあ。
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