- 著 一柳 凪/
- 販売元/出版社 小学館
- 発売日 2007-09-19
オビに「幻想百合ミステリー」なんて書いてあるので最初っから読むつもりは無かったんだけど、終盤でとんでもない展開をするということで恐る恐る読んでみることにした。まあ240ページ程度の厚さなので駄目だったとしてもそれほどダメージを受けることもないだろうし。
とりあえず『乙女ケーキ』を読んでいるのでそれなりの耐性のようなものは出来ているつもりだったけれども、まあ「百合」の部分に関してはそれほど身構える必要もなくって、まあ曖昧とした霧がかっている雰囲気はあるものの淡々とした日常が延々と続く。表面上のお話としては、こういうのが好きな人はともかく、特別好きでもない人間にとっては退屈とまでは行かないけれども、まあ平凡。痛みが伴わない分だけ痛々しさは増しているんだけどね。しかし、あからさますぎる伏線故に多分そうなんじゃないかと思っている結果へと突き進むんだけれども、それはあくまで見せかけの伏線に過ぎず、それまでの雰囲気からは想像も出来ない要素を放り込んでくる。
アレイスター・クロウリーとか魔術とか、そんなものは登場するんだけども、それだけじゃなくって量子力学まで投入してくるとは思わなかった。最期に見せつけてくれるビジョンはちょっと目眩がしそうなくらいにクラクラしていいなあ。不確定世界の探偵物語ならぬ不確定世界の百合物語といったところか。
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