- 著 野尻 抱介/
- 販売元/出版社 富士見書房
- 発売日 2007-08
雑誌に掲載された短編三本と書き下ろし中編一本という構成で、四巻が出ると耳にしたときには久々の長編かと期待した反面、ひょっとしたら短編集かも知れないなあとあきらめも入っていたのでまあ妥当なところ。
短編の方はやはり短編用のネタなので物足りないのだが、あとがきで、宇宙飛行士が宇宙に行ったら人生観が変わるというのは単なるリップサービスでしょうと言っているのがこの作者らしいところだなあと思った。考えてみれば、宇宙に飛び出したとしても人生観が変わるかどうかなんて本人次第なんだからねえ。
それを考えると第一話に登場するある人物が突然人生観が変わってしまうエピソードは笑える。まあこの場合、自分の意志で宇宙空間に飛び出したわけではなく事故で何もない空間にほっぽりだされてしまったのだから神の意志を感じたとしても仕方ない部分もあるだろうけどさ。
書き下ろしの中編はさすがに読み応えはあるのだけれども、それでもやはり長編を読みたいなあという気持ちが高まるばかりで、罪な話である。科学と、科学で説明出来ない事柄に対する姿勢は見習わないといけないなあと思ったよ。
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