- 著 一丸/
- 販売元/出版社 小学館
- 発売日 2007-06-29
『おかみさん』で全力を出しきってしまったというわけでもないだろうが、それ以降の作品は徐々にその連載期間が短くなっていき、もっとも私の知らないところで長期連載している作品があるのかもしれないけれども、知っている範囲において最近の作品は全一巻止まりとなってしまっている。
だからといってつまらなくなって来ているわけではない。どれも水準を保っているのである。
ただ、どの作品も涙あり、笑いあり、そして感動ありの人情ものというパターンで、主人公はおっちょこちょいだけども一直線にきまじめで、設定が違うだけなのだ。
読んでいるうちに飽きてしまうのは作者が悪いというよりも読者が贅沢になってきているだけである。
で、今回は一話完結の物語。それぞれ胸に想いを秘めて上京してきた人々の一週間の物語という設定だ。一丸の実力を持ってすれば、その中にいつもの人情話を盛り込むことなどたやすい作業に違いなく、今回も水準を軽くクリアしている。しかし、一週間の物語という制約が効果的に使われてはおらず、読んでいてもどかしさを覚えてしまう。
軽く水準をクリアしてしまっている物語に感動し、不覚にも涙を流しながらも、もっともの凄い物語を見せてくれと贅沢を言ってしまうのである。ああ、なんて私は我が儘なのだろう。
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