路上の事件

路上の事件 (扶桑社ミステリー コ 12-2)

  •  ジョー・ゴアズ/
  • 販売元/出版社 扶桑社
  • 発売日 2007-07

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主人公は見聞を広めるために旅している小説家志望の青年。物語が始まって直に、とある町で不審者扱いをされ、一ヶ月の強制労働の罰を受け収容所に入れられてしまう。
物語早々いきなり飛ばしているというかハードな展開だなあと思っていたら、まだまだ甘かった。主人公はその収容所で成り行き上とはいえ、収容所署長の殺害の片棒を担がされ、そしてその勢いで脱走してしまうのである。
その後、ヒッチハイクをしながらメキシコまで行き、酒を飲んで大暴れをし、ラスベガスに行ってボクシングの八百長事件に巻き込まれ、別の場所では新興宗教絡みの事件に関わり合いを持ちと、まあこれでもかというぐらいにトラブルに巻き込まれる。まあそのおかげで探偵事務所の所長と知り合うこととなるわけだが、ここまでで既に半分以上のページ数を費やしているので読んでいる方も、ひょとしてこのまま、このような主人公の行き当たりばったりの行動に付き合わされて終わりになってしまうのでは無かろうかと不安になってくるのである。
後半を過ぎてようやく主人公が探偵事務所で働き始めるので、ひと安心となるわけだが、今度は前半の出来事が後半になって絡んでくるのであろうかと不安になってくる。どう見ても前半の出来事の背後に陰謀が隠されているとは思えないのだ。
しかし、そんな心配が右肩上がりにどんどんと高まってくる残り100ページとなったあたり、前半の中に仕掛けられた伏線がビシバシと有効打を決め始め、悲しい結末を迎えながらも見事な幕を閉じるのである。

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