- 著 マイクル・ムアコック/
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2007-03
『スクレイリングの樹』が今ひとつ楽しむことができなかったので、積読のままだったのだけれども、このままではいかんと気合いを入れて読みましたよ。
今回の主人公はフォン・ベックではなくってその孫。携帯電話やメールといった単語が飛び出すあたり、凄まじい状況にあるわけですが、地下世界へと逃げ込んだ孫娘と行動を共にするのが、狐のルニャール卿であるところがさらに凄い。これはムアコック版『不思議の国のアリス』なんじゃないかと思ってしまったわけで、もはやこれがエルリック・サーガなのかと、いやエルリック・サーガである必要性があるのかと思うのだけれども、もう何でもアリだな。オーニソプターが登場したあたりで、宮崎駿にアニメ化させてもいいんじゃないかと思ったよ。
後半になると舞台は暗黒帝国へと移り、<ホークムーン>シリーズを読んでいない身としては、そこに書かれているであろう面白さが半分も理解出来ない状態と化してしまって、まあ知らなくってもそれなりに楽しめたんだけれども、何でも一つの世界にまとめてしまおうって人の書いた本を読むのは、全部読んでおかないと楽しめないので大変なことでもある。
暗黒帝国の人々が仮面をかぶっているという設定を読んで、ジャック・ヴァンスを思い出したんだけれども、ムアコックはムアコックで、ヴァンスのような話にはやっぱりならなかった。
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