メシアの処方箋

メシアの処方箋 メシアの処方箋
機本 伸司

角川春樹事務所 2007-05
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対象が宇宙から救世主に変わっただけで、基本的には前作と同じフォーマットで書かれていることにびっくり。前作は宇宙を作ろうとして、今回は救世主を作ろうとするのである。
まず最初に謎があって、その答えを知りたいからということでそれに向かって突っ走っていく。語り手はごく普通の知能の持ち主なので、難しい事柄に関しては他の頭のいい人間が語り手に説明してくれる形を取ってくれるので、読み手も安心。
最初から最後までひたすらディスカッションで終始するあたりも前作と同じだ。さらには、納得はいくけど驚きはないという、ある意味直球でありながらも曖昧な部分を残したままの地点に着地する答えの出し方までそっくりである。もっともこういう結末の付け方は嫌いじゃないので、満足しているんだけど不満に感じる人もいるだろうなあ。
ただ、最初に見つかったのは設計図にあたる部分だけであって、そこから生まれる物がなんなのか判らないのに、とりあえず作ってしまうあたりはちょっと強引な気持ちもしたのだけど、レムの『天の声』だって、送られてきた信号をもとになんの役に立つのか判らないけれども「蛙の卵」と「蝿の王」をつくってしまったりしたのだから、まあそういうものなんだろうなあ。

コメント

  1. 築千堂 より:

    初めまして
    漫画ばかり読んで、文章を書くのも苦手な私が書かせていただきます。
    登場人物の立ち位置や思想などがそれぞれ共感する部分があり考えさせられる事もありました、がとにかく面白い作品でした。
    表紙を描いているD.Kさんのファンで前作から買いましたが、このような作品に出会えて幸せです。
    最近、小説を読まないので是非ここを参考にさせていただきます。

  2. Takeman より:

    築千堂さん、はじめまして。
    この人の作品の場合、ごく普通の考えを根底にして発展させていくので結論の部分が納得できる形になるんですよねえ。
    ただ、知りたければ何をしても良いのかって言いたくなる部分もあるわけで、そのあたりをもう少しうまく騙してくれるといいのですが。

  3. 『メシアの処方箋』機本伸司 を読んで

    メシアの処方箋 (ハルキ文庫)機本伸司 「神様はいるのか?」どころの騒ぎじゃない。 遺伝子が伝えるメッセージを解明かし、救世主を誕生させる奇跡の物語。 内容紹介 ヒマラヤで発生した氷河湖決壊。下流のダム湖に浮かび上がったのは古代の「方舟」だった。こんな高地になぜ..

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