夕萩心中 (光文社文庫 れ 3-5) 連城 三紀彦 光文社 2007-06 |
<花葬>シリーズと<陽だまり課事件簿>シリーズのカップリングというのは仕方なかったんだろうけれどもなかなか強烈な組み合わせ。<花葬>シリーズを読んだ後すぐに<陽だまり課事件簿>シリーズを読むとそのギャップの激しさにとまどいを受けるのだが、まあ、すぐに読まずに、一日程度時間をおいて読めば何とかなるものである。
しかし<花葬>シリーズは掲載紙がなくなり中断してしまったせいで三編しか収録されていないのは物足りない面があって、とくに「花緋文字」がシリーズの中でもっとも異色で強烈すぎる犯行動機、いや犯人の自己中心ぷりが凄まじく、その衝撃を和らげるのに他の二編ではちょっと役不足気味なのである。もちろん単体としてみれば「夕萩心中」だって素晴らしい出来なのだが、「花緋文字」と比べると衝撃度では落ちてしまう。
一方<陽だまり課事件簿>シリーズの方はといえば、連城三紀彦ってこんな話も書けるのかと思うほどに強烈なギャグの応酬。まあ多少滑り気味かなと思うんだけれども好きですよこういう話は。
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