大久保町は燃えているか

大久保町は燃えているか

  •  田中 哲弥/
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2007-06

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舞台が同じというだけで前作とは全く無関係なんだけど、そりゃそうだ。前作は西部劇の世界だったのに対して、今回はナチスに占領された世界、但し大久保町だけ、なのだ。関係を持たせる方がおかしいのだけれども、最後の方で前作の登場人物がちょっとだけ登場するあたり、作者のサービス精神の現れというべきか、いや単に面白いから出しただけなんだろうなあ。
前作では大久保町がなぜ西部劇の世界になっているのかについて説明などはなかったんだけれども、さすがに今回は説明が必要だったせいか、それなりの説明があるあたりは興味深いところなんだけど、もちろん説明があるからといってそれが納得できる説明になっているのかといえば全くなっていない。そもそも主人公が大久保町に行った原因が、単に道を間違えただけという理由であって、主人公はごく普通の少年、ナチスに占領された世界では全くの役立たずである。そんな主人公がわけのわからないままレジスタンス活動に巻き込まれ、ヒロインに好意をもたれて、終盤はそれなりのサスペンスがあって盛り上がりを見せ、何が何だかわからないうちに全てが丸く収まり、そしてちょっとだけ主人公は成長しているという物語になっているあたり、ずいぶんとしたたかな作者である。

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