- 著 ジョン・コートニー・グリムウッド/
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2007-06
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一体どうしてしまったんだろうこの表紙は。とてもじゃないけれどマーティンの『七王国の玉座』やアンダースンの『折れた魔剣』の表紙を描いた人と同一人物とは思えません。
ボスニア紛争に憤慨した作者が怒りに身を任せて一気に書き上げたというだけあって、作者の感情むき出しの内容。しかしそれがあくまで背景描写だけで収まっており、登場人物に主義主張を言わせていないところが救われている。もっとも、そのせいでかなりあくの強い内容になっており、それを受け入れることが出来るか出来ないかで評価が変わってしまうだろう。なにしろ、スピード感あふれるといいつつも、物語が見え始めるまでの助走部分に100ページ近くも費やされるし、主人公も殺し屋という設定でありながら、プロローグにあたる部分で、暗殺任務に半ば失敗して警官に袋叩きに合うは、任務が始まったら始まったで、眼球をえぐり出され、難民に見せかけるために一週間以上眠らされて、骨と皮の状態にさせられるのである。話が進んでも生きているのが不思議なくらいの目に遭わされて、カタルシスなど何もない。作者が感じた憤りを感じ取ることが出来るかどうかが全てだ。
もしくは、全てを笑い飛ばすかである。
しかし、ボスニア-サラエボつながりを目論んだのか、『虐殺器官』と同じ月に出したのは失敗だったよなあ。あちらと比べると分が悪すぎますよ。
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