- 著 マックス・アラン・コリンズ/
- 販売元/出版社 扶桑社
- 発売日 2007-05
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ノベライズの人とばかり思っていたんだけれども、解説を読むとかなりの才人らしい。しかしどこか職人というかアベレージヒッターというイメージがつきまとってしまう。例えるならばアメリカの辻真先といえばいいだろうか。
歴史のスキマというか空白の部分に虚構を織り交ぜて物語を作るという作品は数々あれど、この作品はちょっと反則ぎみ。なにしろタイタニック号は沈んでしまうのである。説得力を持たせることが出来るかどうかは抜きにして、夢オチに近い自由度があるわけだ。
しかし、この作者の凄いところは登場人物を全て実在の人物にしてしまうという制約を持ってきた。タイタニック号内で殺人事件が起こるのだけれども、犯人も被害者も全て実在の人物にしてしまっているのである。架空の人物を登場させ、その人物を被害者にしたり犯人にしたりするのとはわけが違う。全く持ってその意気込みと実行力には敬意を表したくなるのだけれども……。
読み終わってみると何かが違う。そう、期待していた何かが全く欠如しているのだ。そしてその代わりにあるのがジャック・フットレルとその奥さんの仲睦まじい様子、そして様々な人物模様。殺人事件を解決しても、数日後には彼らは亡くなってしまうのだと思ってしまうと何ともいえない悲しい気持ちになってしまう。
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