神を見た犬

神を見た犬

  •  ブッツァーティ/
  • 販売元/出版社 光文社
  • 発売日 2007-04-12

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北村薫編『謎のギャラリー―こわい部屋』に収録されていたり、ギジェルモ・マルティネスの『オックスフォード連続殺人』で触れられていたりとで、ブッツァーティといえば「七階」というイメージが植え付けられてしまっているんですが、あらためて読み直してみると七階から一階へと転落していく様はやはりうまい。
「天地創造」での人間の扱い方なんかは、そこで登場するのであればそれしかないだろうというくらいにあまりにもベタ過ぎる扱い方なんだけど、オチでの処理の仕方なんかはベタ過ぎる扱いに比べると非常にスマートな処理の仕方をしてちょっと意表をつかれてしまった。そんなわけで冒頭の一作目からツボにはまってしまったわけだが、全22編、「神を見た犬」と「戦艦《死》」が長めだけど他は短い作品ばかりで、ショートショートといってもいいくらい。どういう基準で作品選択をしたのかは判らないんだけど、不気味な話というのが少なく、ショートショートに限っていえば星新一を彷彿させるような話が多い。
全体的には皮肉な話が多く、「戦艦《死》」なんかは本当のところ作者の意図がどうだったのかは判らないんだけど、第二次世界大戦中ナチスドイツが作った究極戦艦が異境の物と戦って、ひょっとしたら世界を救っていたのかも知れないという風に解釈すると、もの凄い皮肉というかイタリアの作家のくせにもの凄い話をさらっと書いてしまうよなあ。
そういえば『オックスフォード連続殺人』は映画化されたようなんだけど、「七階」のエピソードはどうなったんだろうなあ。

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