- 販売元/出版社 河出書房新社
- 発売日 2007-04
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半村良という作家は好きな作家の一人なんだけれども、実をいうとそれほど多くの作品を読んでいるわけではない。どちらかといえばほとんど読んでいないに近い。
『妖星伝』も『岬一郎の抵抗』も読んでいないし『産霊山秘録』も積読のまま。逆に読んだことのあるものはといえば『石の血脈』『亜空間要塞』『下町探偵局』……。こうして挙げてみると、系統立てて読んでいるのではなく、その時その時で興味を持った作品をつまみ読みしているような感じだ。
などと個人的な読書経歴などどうでもいい話だが、半村良の小説の場合、その作品が面白いかどうかという以前に、自分自身がその作品を楽しむことが出来る状態になっているかどうかで読むか読まないかを無意識的に決めているようだ。
しかしそんな風にのんびりと構えていると、読みたくなった頃には絶版で読むのが困難な状況にも陥ってしまう今日この頃。この本の裏表紙にある『能登怪異譚』が絶版となっているのを見て、ちょっと焦り出したりもしているのである。
『星新一 一〇〇一話をつくった人』とは違い、ムックなので評伝ではないものの、未収録作品や未収録エッセイ、対談やらなにやらとごった煮的となった一冊で、とりまとめがないようにも見えてもパッチワーク的な感じで半村良という人物が見えてくるところが面白かった。「箪笥」「雨やどり」「およね平吉時穴道行」といった定番の短編も収録されていてこれは意外とお買い得な一冊なんじゃなかろうかと思った。
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