死刑執行人のセレナーデ

死刑執行人のセレナーデ

  •  ウィリアム・アイリッシュ/
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 1975-01

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後期のウールリッチは駄目だというのがわかっていながらも手をつけてしまいました。
だって、ウールリッチの長編はまだまだ未読が多いと思っていたら初期の長編は読み尽くしてしまっていて、残っているのは後期のものだけだったんですから。
主人公はニューヨーク市警の刑事。ある事件で怪我を負い、その怪我の療養でやってきたのどかな村で起こる連続殺人事件という筋立て。
主人公は刑事だし、何者かに追い詰められているわけでもない。さらには次々と人が殺されるわりにはサスペンス性はまったくありません。もっとも殺されるスピードが早いぶん展開も早く、読んでいて飽きないのですが、このペースでいくと十人以上の人間が殺される大量殺人の話になるんじゃないかと思うくらいの早さで次々と人が殺されていくので逆に心配になってしまうほどです。
殺された人間のミッシングリンクが大きな謎であり、ミッシングリンクはウールリッチの十八番といってもいいのですが、やはりそこにサスペンスが絡まない分、面白味に欠けてしまいます。
素材は悪くないだけに、全盛期のウールリッチが書いていればなあと、思ってしまうのでありました。

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