- 著 松村 栄子/
- 販売元/出版社 ジャイブ
- 発売日 2007-01
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小学4年の女の子、女子高生、予備校に通う少女、三十路を目前にした女性。
悩むことがらはそれぞれ違うことなのだけれども、いくつになっても悩み事というのはつきないものである。
もっとも、この本の主人公たちはそれほど深刻な悩みを抱えているわけではないので読んでいても別に暗い気分になるわけではない。
この本の中で一番長い表題作は友達と電話で話すアスカという女子高生の会話だけで構成された10話から話だ。地の文のない、会話だけで成り立っている話というのはとりたてて珍しいわけではないけれども、アスカのとりとめのないおしゃべりの中から次第に話相手であるマミの境遇やアスカの兄の境遇が明らかになってくるあたりや、そして作中では書かれないけれども返答している事は確かである話し相手のマミが、どのような返答をしているのかなどを考えながら読んだりするのはなかなか楽しい。
しかし、一番驚いたのは「窓」で、いや、あの後主人公はいったいどうしたんだろうかと考えてしまう。「紫の砂漠」でもたしかに主人公に対してとんでもない試練を与えた作者だけに、あんな試練をこの主人公に与えたとしても不思議ではないのだが……。うーむ凄い、いや酷い話だった。
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