- 著 森橋 ビンゴ/
- 販売元/出版社 角川書店
- 発売日 2007-03
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「ラビオリ・ウエスタン」と同時期に出たこの本。「ボク」と「チョコレートケーキ」にまつわる短い文章を枕にして語られる四つの恋の物語。どんな話が繰り出されるのかと思ったら……。
いきなり変化球やらビンボールやら魔球の連投、ラノベの制約を外したらいきなりこんな設定持ち出してくるのかこの人はと思ったよ。
第一話の主人公はゲイで彼氏と同棲中。そんな主人公にたった一度の過ちで子供が出来てしまう。男にしか興味のない主人公だけれどもたった一人好きになった女の子がいたのだ。しかし相手の女の子が主人公のことを好きだったのかといえばそうではなく、女の子が好きだったのは主人公の彼氏の方だったというどうしようもなく泥沼化しそうな設定。
第二話の主人公はゲイではないけれども女装癖の持ち主。そしてふとしたことで知り合った12歳の女の子に「変態」と罵られることに快感を覚え、奇妙な関係が続く。この第二話に比べれば残る二話はまだおとなしい設定になるかもしれないが、ここまでくると変化球というかビンボールというか魔球というか、いや、ボールを投げているようにみえながら実際のところ何もしていないんじゃないのかとも思えてくる。
しかしここまで変な設定でありながらも話は暗くはならず、しっとりとはしているけれどもけっしてじめじめせず、読後感はぜんぜん悪くはなく、やはりいつもの森橋ビンゴなのだ。
で、問題は各話の最初に置かれた「ボク」と「チョコレートケーキ」にまつわる二ページほどの短い話だ。
最後まで読めば好み次回話がメインの四つの話と結びつくのだろうと思っていたら、四番目の「ボク」と「チョコレートケーキ」の話を読んで驚いた。
何のことはない、これは物語に見せかけた作者のあとがきだったのだ。いつもあとがきで書いていた事柄を、まさかこんな手を使ってまで書いてくるとは思ってもみなかったよ。
コメント
最近ラノベの制約はずした瞬間ステキすぎる作品書く作家増えてきましたね
森橋ビンゴも「三月、七日。」を読んだときに、そういう作家になるのではと思いましたが見事になっちゃいました
いあ、この先が楽しみな作家が増えたw
問題は次の作品ですねえ。
楽しみにしている作家なんですが、この人の場合、いつ消えてしまうか不安でもありますよ。